【discretion:自由裁量】


●契約交渉の場では、誰しも自己に有利な権利を獲得したい、自由裁量
の幅を持たせた文言を書かせたいと思って臨んでいるはずです。
しかし、通常は相手も同じ気持ちですから、そう簡単に有利な条件を
引き出せるわけではありません。そこで色々な交渉テクニックを駆使
することになります。


例えば「肉を切らせて骨を絶つ」作戦(勝手に命名していますが)。
単なる「交換条件」とは違います。自分にとって相対的に優先度の
低いものを譲歩する代りに、優先度の高いものを有利な条件にする
交渉方法です。この場合、数ある契約条件の中で優先順位を付けること、
そして、相手にそれを気付かせないことが重要です。相手に「お互い
譲歩しているからいいか」と思わせればしめたものです。


●英文契約書では以下の通りに記載されることがあります。


X may change the specifications and design at its sole discretion
 at any time by mailing written notice of such changes to Y. 

これを翻訳すると以下のようになります。


「XはYに対して書面による通知を郵送することにより、その自由裁量で
いつにても仕様及びデザインを変更することができる」